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Origami Therapy Association (OTA):週間NY生活に記事掲載

ニュース 2016/12/28

週間NY生活にOrigami Therapy Association (OTA)の記事が掲載されました。

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JAMSNETドイツの会合報告:JAMSNETドイツ代表 馬場恒春医師

ニュース 2016/12/02

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JAMSNETドイツ 2016年11月19日(デュッセルドルフ)

時の経つのは早いもので、街中は既にヴァイナハト・マルクトを訪れグリューワインを味わう、クリスマスのシーズンに入りましたが、皆様は如何お過ごしでしょうか。

大変に遅くなりましたが、11月19日(土)にデュッセルドルフで行いましたJAMSNETドイツの講演会とそれに続きます懇親会について簡単にご報告させて頂きます。

時間通りの会議開始
会場は、日本のお店が多いデュッセルドルフ中心部にあるオスト通りの弊クリニック(Oststraße 51)の待合室を使わせて頂きました。

ご講演をくだいました在デュッセルドルフ日本国総領事館の小沼領事をはじめ、参加者の方々が午後2時前には会場にお集まりくださいましたので、その後時間通りにスケジュールを進めることができましたことを、ご講演者・参加者の皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。

参加メンバーの自己紹介
冒頭の拙い小職の短い挨拶と同日の流れについて若干の説明を行いました後に、今回初めてお会いされる方々もいらっしゃいましたため参加者の会員の方々の自己紹介をして頂きました。参加者10名の方々は以下の通りです。

1. 小沼孝治領事(講演者)
2. 赤城加洋副領事 (デュッセルドルフ医療従事者連絡網)
3. フィッシャー平松由紀子様(講演者、竹の会理事)
4. 中川フェールベルグ美智子先生(座長、Sokol産婦人科)
5. 渡辺・レグナー嘉子様(座長、DeJak友の会主催)
6. エアヴィック 妙子さん(国際平和村)
7. 森由紀子先生(内科医師)
8. 関口吉運先生(ライン幼稚園園長)
9. ノイゲバウア馬場・ザビーネ(内科医師)
10. 馬場恒春(総合司会)

なお、会場の椅子並べ、題字依頼やスクリーン設定、当日の飲み物とクッキーの準備を手伝ってくれた小職の家内のノイゲバウア馬場もオブザーバーとして参加させて頂きました。

今回は、時期の関係もあり遠くにお住いの会員の方々の出席が難しかったこともあり、来年はもう少し暖かい季節にしてもとも考えています。

講演1「邦人が遭遇する国際結婚の課題1 - ハーグ条約」
 スピーカー:フィッシャー平松さん
 司会:  渡辺・レグナーさん
最初に、日本とドイツの看護師免許を持たれ、De-Jak友の会、竹の会で邦人支援の活動され、問題を抱えられている多くの邦人の方々の相談と問題解決に尽くしてくださっていらっしゃいます、フィッシャー平松さんに主にハーグ条約についてお話をいただきました。なお司会として、De-Jak友の会でご一緒に高齢者の課題に積極的に取り組んでいらっしゃいます渡辺・レグナーさんが座長をしてくださいました。

ハーグ条約についてポイントを押さえ、非常にわかりやすく、約30分のお話をしてくださいました。さらに、父親または母親と会えなくなるという立場に置かれたお子様の心の痛手についてもご説明頂きました。不勉強な小職も初めて知ったことは、ドイツに暮らす邦人夫婦にもハーグ条約は適用されることです。

クリニックを訪れる患者さん中には種々の理由から、稀に必ずしも了解なく里帰りされて戻ってこられない方もいらっしゃられるようです。日本の社会ではそれを訴えてまで問題とすることは少ないにしても、ハーグ条約の観点からの留意も必要と認識した次第です。

会場ではフィッシャー平松さんのお取計らいで、外務省の「子供と海外に行く方へ、日本に戻る方へ」というハーグ条約に関しますパンフレットをご用意して頂きました。さらにお手元にご希望の方はドイツの在外日本公館でも入手できます。

休憩(コーヒータイム)

講演2「ドイツにおける邦人の安全対策と現況」
 スピーカー:小沼領事(在デュッセルドルフ総領事館)
 司会:  中川先生
小沼領事はこの春から、テロ事件や難民の課題に直面するドイツにご着任され、総領事館と在留邦人の安全警備に関連し、デュッセルドルフ地区の邦人の方々に事件やデモ予定に関する注意喚起の情報を提供してくださっています。

お話は「窃盗・強盗」などの一般事件と「テロ関連事件」について分けてご講演くださいました。実際の数値を日本友比較しながら、地図を使った分かりやすい、なるほどと理解できる説得力のあるプレゼンテーションの準備をしてくださいました。

ドイツ国内の年間事件件数は日本の数倍以上と圧倒的に多く、特に置き引き、スリ、車内荒らし、路上強盗、空き巣などに邦人が巻きこまれるケースも散発しており、事実、ご講演後の質疑応答の際に、参加者の大半あるいは近い知合いが物を取られた経験があるとのことで、今後年末にかけての注意が必要です。日本国内と同じようなリスク感覚では不十分と言えるかもしれません。

後半は昨今欧州で頻発しているテロおよびテロ関連事件についてお話を頂きました。ドイツへの難民流入の増加の時期との関連、IS(イスラム国)の影響によるテロ事件が増えており、引き続き高い注意が必要とされているとのことです。

ISによるテロは、多くの一般市民の殺傷を目的としたソフトターゲットを標的にする傾向があるとのことです。日本は他の先進諸国と比較すれば、狙われるリスクが必ずしも高くないものの、偶発したテロ事件に日本人が巻き込まれることがないとは言えず、普段からの注意が必要とのことです、いざ事件に遭遇した場合には、「逃げる」ことが大切との助言を頂きました。

なお、総領事館からメールで私たちに届けられています注意喚起情報のほとんどはドイツの警察から自動的に届けられるものでは決してなく、小沼領事ご自身が足を運んだり、関連期間に問い合わせをされて、さらにドイツ語から日本語への翻訳の労をとられてから、私たちに提供してくださっているとのことでした。頭の下がる思いがしました。

質疑応答(司会:中川先生)
ご講演くださいました両氏に幾つもの質問がでましたが、不遜にもきちんとしたメモに残しておらず、詳細を割愛させて頂きます。

会議後のコーヒータイム
講演会の閉会の挨拶(馬場)の後、コーヒーとクッキーのテーブルを囲んで、リラックスした雰囲気で談笑の機会をもうけました。

懇親会(市内のレストラン「日向」にて)18時30分〜
ご予定のあられる方、講演会の時間帯にご用事のあられた会員の方もいらっしゃいましたので、多少のメンバーの交代もあっての懇親会となりまし。以下の方々が懇親会の出席者です。

1. 中川フェールベルグ美智子先生(Sokol産婦人科)
2. 渡辺・レグナー嘉子様(DeJak友の会主催)
3. フィッシャー平松由紀子様(竹の会理事)
4. ホーネカムプ・山本先生(臨床心理士)
5. 森由紀子先生(内科医師)
6. 森先生のご主人(バイエル製薬)
7. 関口吉運先生(ライン幼稚園園長)
8. ノイゲバウア馬場(内科)
9. 神野正敏先生(奈良医大腫瘍センター長)
10. 神野先生の奥様
11. 馬場恒春(内科)

神野先生(Prof. Kanno)はご専門の血液内科の他、奈良医科大学とドイツの大学との間で医学生や若手医師の交換プログラムを大学で準備されており、JAMSNETドイツへの参加をご希望されていますので、日中のご用事が済んでからの懇親会に来て頂きました。短いドイツ滞在で、本来ならばデュッセルドルフのアルトビールとアイスバインなどで御持て成しをすべきなのでしょうが、和食のおつまみと日本のビール、しかも会費をお支払して頂いて参加して頂きました。

懇親会はライン幼稚園園長の関口先生に乾杯のご発生をお願いし、開店直後の6時半から他のお客さんがほとんど帰られた閉店直前まで、楽しい雰囲気で行うことができました。ご参加くださいました方々に感謝を申し上げたいと思います。

来年の会合の日程はまだ未定ですが、メンタルヘルス領域をテーマに念頭においております。

今後ともご指導、ご助言のほど、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

文:馬場恒春

在ニューヨーク日本国総領事館:母子手帳(親子健康手帳)の配布のご案内

ニュース 2016/11/30

在ニューヨーク日本国総領事館からのお知らせです

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母子手帳(親子健康手帳)の配布のご案内

2014年5月14日
(2016年9月1日改訂)

在留邦人の皆さま

今般,一般社団法人 親子健康手帳普及協会より外務省に対し,海外に居住される邦人の妊婦の皆様へ母子手帳(親子健康手帳)を無償にて提供したい旨申し出があり,当館においても当館管轄地域に在留する対象者の皆様に配布することになりましたのでお知らせいたします。当館窓口での申込みのほか,郵送での申込みを受付けます。
配布対象者
以下の条件全てに該当する方
※ 日本国籍を有する方
※ 当館管轄地域*に在留し,当館に在留届を提出している方
*ニューヨーク州,ニュージャージー州,ペンシルベニア州,デラウエア州,ウエストバージニア州,コネチカット州フェアフィールド郡,プエルトリコ,バージン諸島 ※ 妊娠中または出産後1年以内の女性,または,その配偶者の方
提出書類
※ 配布申込書  :http://www.ny.us.emb-japan.go.jp/jp/boshi-techo/b-t-application-form.pdf
※ 妊娠または出産を確認できる書類(通院を証明する書類,妊娠証明書,出生証明書等)のコピー
※ 旅券のコピー
※ (配偶者が申請する場合)婚姻関係を示す書類(婚姻証明書等)のコピー
* 在留届で確認できる場合には省略可
※ (郵送希望者のみ)送付用切手(First-class Mail 4oz分)と返信用封筒

ご照会がある場合には,当館領事部(電話:212-371-8222,電子メール:ryoji@ny.mofa.go.jp)までお寄せください。

(ご参考)
外務省ホームページ :http://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ghp/page3_000780.html

外務省:海外安全アプリのお知らせ

ニュース 2016/11/17

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海外安全アプリの配信について

2015年7月1日より,海外安全アプリが公開されました。
1.海外安全アプリとは
海外にお住まいの方や海外旅行・出張中の方に、安全に係る情報をお届けすることを目的としたアプリです。

2.このアプリでできること (1)スマートフォンのGPS機能を利用して現在地及び周辺国・地域の海外安全情報を表示することが出来ます。
(2)任意の国・地域を「MY旅行情報」機能から選択することで、その国・地域に対する海外安全情報が発出された場合にプッシュ通知で受信することが出来ます。
(3)各国・地域の緊急連絡先を確認することが出来ます。

3.プライバシーポリシー

○提供者名(お問い合わせ先)
外務省領事局政策課
〒100-8919 東京都千代田区霞が関2-2-1

お問い合わせフォーム:
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/contact.html ※お問い合わせの際は,本アプリについての問い合わせと明記してください。


○取得する利用者情報 本アプリは利用者情報の取得を行いません。GPS機能を有効にしている場合は,そのスマートフォン・アプリ内に限定して利用しますが,スマートフォン上に保存されている利用者情報の取得は行いません。

○プライバシーポリシーの変更
本アプリのプライバシーポリシーを変更した場合は、インストール画面、アプリ内説明文、WEBページにてお知らせします。
アプリ内の説明文は、アプリ起動時に自動バージョンアップにて変更が反映されます。

外務省 領事サービスセンター(海外安全担当)
TEL(代表)03-3580-3311(内線:2902、2903)TEL(直通):03-5501-8162

App Store または、Google Playで検索ください。
詳細の情報は http://www.anzen.mofa.go.jp/c_info/oshirase_kaian_app.html にて御覧下さい

米国における予防接種に関するQ&Aが日本語でお読みいただけます

ニュース 2016/09/19

フィラデルフィアこども病院(CHOP)のワクチン教育センターの勝田医師からお知らせです

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The Children’s Hospital of Philadelphia, Vaccine Education Center- 米国における予防接種に関するQ&Aが日本語でお読みいただけます。以下をクリックください。
http://www.chop.edu/pages/japan-vaccine-informational-materials#.V9a7vTuwYlt

ファイルには「米国における」ワクチンの内容が含まれているため、できれば米国に滞在している日本の方々に読んでいただければと考えております。ワクチンスケジュール表などはいろいろなサイトから閲覧可能かと思いますが、「どうしてこのワクチンが必要なのか? どういう効果があるのか? 安全性は大丈夫か?」など接種に際して必要な情報が明確に記載されています。是非、ご参照ください。

心の架け橋いわて:活動紹介パンフレット

ニュース 2016/08/29

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心の架け橋いわて(認定NPO法人)のご紹介
JAMSNET東京やJAMSNETもサポートをしています、心の架け橋いわての活動に関してパンフレットを是非ご覧ください。被災地支援の一環として、心のケアにフォーカスを当てた素晴らしい活動です。

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パンフレットは以下をクリック下さい:
こちらをクリック下さい

JAMSNET東京:
http://jamsnettokyo.org/

JAMSNET ニューヨーク邦人メンタルヘルスネットワークのご紹介

ニュース 2016/08/26

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ジャムズネット東京のメールマガジンに掲載されました、JAMSNETニューヨーク邦人メンタルヘルスネットワーク副代表 ニューヨーク日本人教育審議会・教育文化交流センター・教育相談室、New York State Licensed Clinical Psychologist 森真佐子氏の寄稿されました記事です。メンタルヘルスネットワーク発足の経緯や活動を詳しくご説明いただいています。

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 JAMSNET ニューヨーク邦人メンタルヘルスネットワーク副代表、森真佐子と申します。ここにネットワーク発足の背景と経緯、主な活動内容、今後の課題、また海外の邦人支援ネットワークを維持するための決め手となるものについて述べさせていただきます。私はニューヨーク日本人教育審議会・教育文化交流センター・教育相談室(以下NY教育相談室)でNY州公認Clinical Psychologist(日本でいう臨床心理士)として2002年から在米邦人家庭を対象とした臨床・研究活動に従事してきました。ニューヨークでJAMSNETが発足した時からNY教育相談室が団体メンバーとして加入しております。2012年からはジャムズネット東京の個人会員として参加しています。この寄稿文の最後に、これまでニューヨークで邦人のメンタルヘルス・ケアに従事してきた経験と、去年から今年にかけて半年間日本の大学院で臨床心理学を教えた経験から、日米のメンタルヘルス事情の違いを踏まえ、臨床心理職の役割と権限についても考察を述べたいと思います。長文で恐縮ですが最後までおつきあいいただければ幸いです。

JAMSNET ニューヨーク邦人メンタルヘルスネットワーク発足まで
 ニューヨーク邦人メンタルヘルスネットワークは、JAMSNETのサブグループとして2007年に発足しました。JAMSNET東京会員の皆様にはご存じの方も多いかと思いますが、その前年の2006年に当時在ニューヨーク日本国総領事館(以下総領事館)の医務官であった、現JAMSNET東京理事の仲本光一氏と、当時米国日本人医師会会長であった現JAMSNET代表本間俊一氏の発案で、ニューヨーク周辺における邦人支援機関同士の情報交換、相互連携の構築を目的として発足しました。それまでニューヨーク周辺には, 医療、教育、福祉関係の多くの邦人支援団体がありましたが機関同士の連携はあまり行われていませんでした。今から思えば考えられないことです。これらの機関同士の連携が必要と常々感じていた本間代表が、ニューヨークに着任したばかりの仲本医務官と初めて会った時にその話をし、両氏の間で邦人支援団体のネットワーク構築の計画が生まれたと聞いています。

 2006年に総領事館で開かれた第1回目のJAMSNET総会に参加したことを今でもはっきりと覚えています。それまでさまざまな日系支援機関の存在は知っていたものの、ほとんど面識がなかった25の日系の邦人支援団体代表の方々と初めて顔を合わせる機会となりました。総領事館医務班や邦人援護班のスタッフも参加され、ニューヨーク周辺邦人コミュニティーの安全と心と体の健康促進を支援するという共通の目標、またそのための相互連携を確認し合いました。それまで各機関でおのおのが個別に感じていた思いが一つになり、協力体制を実現できる場が与えられたこと、またそれを日本政府のサポートを得ながら行っていけることへの期待感、皆で力を合わせて頑張っていこうという高揚感が会議室にみなぎっていました。JAMSNET発足後の主な活動は3か月に1度の会合、患者の紹介や情報交換などの日常的連携、医療関係イベントの主催、啓蒙活動のための講演会やワークショップ実施などがありました。

 言うまでもなく、邦人支援においてメンタルヘルス・ケアは重要な側面のひとつです。JAMSNET参加団体にはメンタルヘルス専門機関、またその関連機関が幾つかありました。私が所属しているNY教育相談室もその1つです。JAMSNETは日系支援団体でなければ、個人では正式メンバーになれませんが、当時から現地のメンタルヘルス機関、あるいは個人開業で心理臨床活動に従事する邦人メンタルヘルス専門家が多く存在していました。アメリカの大学院や医科大学で専門トレーニングを受け、アメリカの国家ライセンスを持つプロフェッショナル達です。JAMSNET発足後、ニューヨーク周辺在住の邦人支援活動を行っていくにつれ、自然とメンタルヘルス専門家同士の協力・連携を図るためのネットワークの必要性が高まっていきました。発足から1年後、当時総領事館の医務班看護師であった関久美子氏の発案で、JAMSNETのサブグループとして、ニューヨーク邦人メンタルヘルスネットワークが発足しました。当時総領事館の顧問医であった吾妻壮精神科医師が代表を務められました(現在の代表は斎藤恵真精神科医師)。発足当時の正式メンバーはニューヨーク周辺でアメリカの国家ライセンスを持つメンタルヘルス専門職21名でした。

ネットワークの目的と特徴
 2007年3月に総領事館の会議室でニューヨーク邦人メンタルヘルスネットワーク第一回目の会合が開かれました。ネットワークの目的は、第一に、ニューヨーク周辺在住のアメリカでライセンスを持つメンタルヘルス臨床家リストを常にアップデートし、9.11など突発的事件や大災害などの危機に備えること、第二に、年2回の会合やEメールを通してメンバー同士が日常的に連携・協力できる体制を作ることです。これらの目的を確認し、具体的な邦人支援活動の内容について話し合いました。この初回会合のトピックは「危機介入」でした。2001年に起きた9・11事件後に総領事館、ニューヨーク周辺の日系メンタルヘルス専門機関(NY教育相談室や日米カウンセリングセンターなど)、日系の福祉機関(Japanese American Social Services, JASSI)がどのような支援活動を行ったかそれぞれ発表し、将来9・11事件や大災害など突発的なことが起こった時に出来得る活動について話し合いました。後の詳しく述べますが、このような話し合いやその後の相互協力体制は、2011年の東日本大震災後の邦人へのメンタルヘルス支援活動に大変役立つこととなりました。

 ニューヨーク周辺には在留邦人だけで約6万人いるといわれています。この他日系アメリカ人や短期旅行者の数も多く、邦人メンタルヘルス専門家(日本語を話せる専門職)も数多く存在します。これは世界の他地域ではみられない特徴です。われわれのネットワークの現在の正式メンバーは、アメリカでメンタルヘルスの国家資格を取得したメンバーが31名、スーパーバイズを受けながら臨床活動しているメンバーが2名の計33名です。職種は精神科医師4名、サイコロジスト11名(Clinical, Counseling, School Psychologistなど)、臨床ソーシャルワーカー12名、メンタルヘルスカウンセラー3名、ドメスティックバイオレンス・カウンセラー3名です。アメリカで臨床心理学を教える大学教員は3名、団体の参加は3つです。それぞれの専門性も多様で、精神疾患全般、薬物・アルコール使用障害、摂食障害、HIVエイズ問題、LGBTQ、ドメスティックバイオレンス、不登校・学校適応、発達障害・心理教育査定、養育ガイダンス、高齢者メンタルヘルス、悲嘆、カップル・家族療法、人格障害・DBT、マインドフルネス、企業コンサルテーションなどがあります。

 ご存じの方もおられるかと思いますが、心理臨床に携わる専門家の養成トレーニングや資格において、日米で大きな違いがあります。ここに少しご紹介します。ニューヨーク州を例にとると、主なメンタルヘルス専門家には精神科医 臨床心理士、臨床ソーシャルワーカー、メンタルヘルスカウンセラーなどがあります。精神科医になるためにはどちらの国でも国家資格が必要ですが、異なる点はアメリカの場合は医師ではなく心理療法のみを行う職種、“Clinical Psychologist”(日本でいう臨床心理士)、”Clinical Social Worker”(臨床ソーシャルワーカー)、”Mental Health Counselor”にも国家資格が必要だということです。これらは法的に守られた職種で、国が法で定めた資格を有し国家試験に合格した人のみが、その職種のプロフェッショナルとして心理療法に携わることができます。例えば“Clinical Psychologist”の国家資格を得るためには、まず大学院で臨床心理学博士課程を修了しなければなりません。博士号取得にはまず、3年間の講義・コースワークと2年のパートタイム臨床実習を終えること、その後外部の臨床機関で1年間有給でのフルタイム・インターンシップ臨床実習を修了すること、更に博士論文を終えることが必要です。博士号取得後には更に1500時間のPost-doctoral Training(フルタイムで1年間にあたる)の臨床実習を終え初めて国家試験を受ける資格が与えられます。したがって国家試験を受けるまでに最低でも5年必要で、国家試験に合格すればやっと“Psychologist”として心理療法を行う資格ができます。他の臨床心理職、たとえば臨床ソーシャルワーカーの国家資格を得るには博士号を取得する必要はありませんが、2年間の修士課程を修了し(講義とパートタイムでの臨床実習を行う)、その後フルタイムで2年間のにスーパーバイズされた臨床活動を終えた後、国家試験を受ける資格が与えられることになっています。従ってプロのメンタルヘルス専門職として心理療法に従事できるようになるための基準は日本よりもずっと厳しいといえます。

 われわれネットワークのメンバーの中には、それぞれの職種で国家ライセンスを取得後、さらなる専門トレーニングを受け(精神分析、家族療法、ゲシュタルト療法、AEDP療法など)、アメリカ人のライセンスを保持した専門家や日本の臨床心理専門家を指導・スーパーバイズしているメンバーもいます。従って、メンバー同士互いに専門性の高い情報や知識、経験を共有することが可能となっています。

ネットワークの主な活動
 主な活動としては、メーリングリストや個別Eメールなどでの日常的な情報交換・相互連携、年2回の定例会、啓蒙・予防活動としての一般向け講演会やワークショップの実施、危機介入・災害後の邦人対象心のケア支援があります。それぞれについてご紹介しましょう。

1.年2回の定例会
 第一に、年2回の定例会についてですが、通常毎回異なるトピックをもうけ(危機介入・災害時の心のケア、薬物療法、LGBTQとメンタルヘルス、高齢者の心のケア、ドメスティック・バイオレンス、子ども・青少年の心理療法など)、それぞれの分野で専門性を持つメンバーを講師に迎え勉強会を行っています。今年5月の会合では「Neuroscience」を取り上げ、ネットワーク代表でザッカ―ヒルサイド病院児童思春期病棟医長の斎藤恵真精神科医師とネットワークMailing Listメンバーでマウントサイナイ医科大学病院臨床遺伝科大石公彦医師から、最新の脳科学(特に脳機能とPTSD症状との関係性)について、また臨床遺伝子学の発見についてそれぞれ講演していただきました。最近ではこれらの年2回の定例会に加え、「Continuing Educationシリーズ」と題し、それぞれが専門とする心理療法について、理論のみならず体験的に臨床スキルを学べる3-4時間のメンタルヘルス専門家向けワークショップを無料で提供しています。1回目はサイコロジストでAEDP研究所スーパーバイザーとしてご活躍の花川ゆう子氏を講師として、アメリカで近年注目を集めている、感情プロセスや共感にフォーカスした新しいAEDP療法を紹介しました。二回目はGestalt Therapyワークショップを秋に行う予定です。こちらはGestalt Center研究所で臨床トレーニング・ディレクターを務めるクリニカル・ソーシャルワーカーの安田寛氏を講師としてお迎えします。

2.日常的相互連携
 第二に、メーリングリストや個別Eメールを通しての日常的なメンバー同士の情報交換や相互連携、また他地域のメンタルヘルスネットワークや専門家とも情報交換や連携を行っています。専門外の問題を抱えたクライエントについてのコンサルテーション、また他国・他地域へ移転するクライエントの紹介や福祉的援助のリソースについての情報交換はじめ、互いの専門性や知識をシェアしたり、各個人が持つ連携機関(日米のさまざまな医療・教育・福祉機関)の共有も行うようこころがけています。例えばメンバーと関係がある現地や日本のリソースを活用し不定期に勉強会や交流会を催しています。マンハッタンにある精神分析研究所で「精神分析」をテーマにその研究所のCore Facultyである精神分析家から講義を受け、メンバーとのディスカッションを行ったり、日本の大学院臨床心理学部教授と日米の子育て支援をテーマに交流会を行ったりなど、これまで多くの企画を実施してきました。

 メーリングリストには、メンタルヘルス以外を専門する医師や大学教員、日本から留学中の研究者などにも参加してもらい、より幅広い分野での情報交換や連携機関・リソースの共有が可能となっています。後に詳しく述べますが、東日本大震災後、ネットワーク内で有志を募りさまざまな邦人支援活動を行いましたが、これはそれぞれのメンバーが持つ現地と日本の連携機関を共有し、協力し合ったことで実現できました。例えばNY教育相談室では、普段の活動において文部科学省・日本の教育委員会、ニューヨーク周辺の日系教育機関、現地公立学校・教育委員会、および日米のメンタルヘルス専門職と連携しています。またメンタルヘルスネットワーク有志それぞれがすでにさまざまな日米の連携機関を持っていました。東日本大震災後それらの機関・専門職の協力を得て、迅速に積極的な邦人支援活動を行うことが可能となりました。

3.啓蒙・予防活動
 第三に、メンタルヘルスに関する一般向け啓蒙・予防活動も重要な活動のひとつです。われわれネットワーク・メンバーの多様な専門性を生かし、一般向け講演会やワークショップの実施を随時行っています。JAMSNETは2007年より、総領事館の後援を得て、ニューヨーク日系人会と共催で年に2度のヘルスフェアとシニアウィークを行っています。約2週間にわたり、心と体の健康・医療に関するさまざまな種類の日本語での講演会やワークショップが無料で、ニューヨーク周辺の日系コミュニティに提供される大きなイベントです。アートセラピーやミュージックセラピーの参加型企画、栄養士によるヘルシーな食生活のガイダンス、乳がん発見セミナー、空手やダンスの無料講習など毎回50を超す企画が行われ、延べ1500人ほどのニューヨーク周辺在住の日本人が参加されます。われわれメンタルヘルスネットワークのメンバーも2007年から毎回「高齢者とうつ」、「アメリカに住む日本人のメンタルヘルス」、「健やかなコミュニケーション講座」、「介護者の心のケア」、「実行機能と発達障害」、「夢分析」など、多種多様なメンタルヘルス関係のトピックで講演会やワークショップ、シンポジウムを実施してきました。また保護者対象の無料個別教育相談や、ドメスティックバイオレンスに関する無料個別相談なども行いました。この10年間のシニア・ヘルスウィークで行った講演会・ワークショップの数は60にものぼります。ヘルスフェア・シニアウィーク以外にも、われわれネットワークがJAMSNET内の育児サポートグループや米国日本人医師会、あるいはJAMSNET以外の日米の民間・教育団体などと共催し、総領事館やニューヨーク日系人会他の場所で不定期の講演会・ワークショップなども実施してきました。ほんの一例ですが、JAMSNETメンバー「すくすく会」との共催で、和歌山県精神保健福祉センター 所長・小野善郎児童精神科医師を迎え行った一般保護者対象「思春期の子どもとコミュニティを考える」や、宮城県子供総合センター、JAMSNETと共催で行った、所長の本間博彰精神科医師による講演会「東日本大震災から2年半後の子どもの心の問題と課題~被災地3県の現状~」などがあります。

4.危機介入・災害後の心のケア支援
 第四に、重要な活動の一つとして危機介入・災害後の心のケア支援があります。2011年の東日本大震災以降は、それまでの活動に加え、大震災に関わるメンタルヘルス支援活動を敏速に、また積極的に行いました。震災直後、臨時に総領事館で会合を開き、われわれメンタルヘルスネットワークのメンバーに何ができるか具体策を話し合いました。JAMSNETのメンバーや総領事館医務班、邦人援護班のスタッフも参加されました。ニューヨーク周辺在住の日本人の間にもかなり動揺が見られましたので、皆で話し合った結果、以下の心のケア支援活動を行うことになりました。 ①電話相談・ホットラインサービス:2011年4月から6月まで、われわれメンタルヘルスネットワーク有志7名による成人対象のホットラインと子ども対象の電話相談を設置しました。これはJAMSNETのメンバーであるJASSI(日系の福祉団体)とNY教育相談室の既存のシステムを利用することで実現できました。全米はもちろんのこと、日本その他の国からも相談を受け付けました。②ニューヨーク市でのサポートグループ:4月中旬から有志6名によるサポートグループを開始しました。これはNY市で個人開業しているメンバーのオフィス6ヵ所で定期的に行われたグループで、参加者が大震災について心のうちを話し、参加者同士で情報交換できる場を提供すること、そして治療が必要な症状が見られた場合はカウンセラーや精神科医師への紹介を行うことが目的でした。これらの支援活動への感想には、「日本が大変なことになってしまい動揺しているが、海外にいながら日本語でこのように相談でき有難い」、「子どもがアメリカでも地震が起き親も自分も死んでしまうと怖がり、どうしてよいかわからず困っていたが、具体的な対応を日本語で教えてもらい安心できた」というものがありました。異国にいながら非常時に日本語で相談できて安心できたという感想が多かったと記憶しています。③災害と心のケアに関するワークショップなどのアウトリーチ、出版物での情報提供:ニューヨーク市周辺の日本人学校や補習校の協力を得て、保護者対象に子どもの災害後のメンタル・ケアについてのワークショップを学校で行ったり、ニューヨーク周辺の東北県人会へのアウトリーチも行いました。また日系の週刊新聞やミニコミ誌に「災害後の心のケア」や「危機時の子どもへの対応」についてなどメンタルヘルスに関する記事を執筆し日本語で提供しました。④「東日本大震災、NYから心の相談110」ウェブサイト作成:日本への遠方支援策として「東日本大震災、NYから心の相談110」と題するウェブサイトを作成し、災害後の心のケアに関する情報を提供しました。アメリカの9・11事件やハリケーンカトリーナなどの大災害後に英語で作成され効果があった文献やマニュアルの日本語訳、また独自に作成したビデオレクチャーも提供しています。震災後一年ほどは一月に1500ほどアクセスがありました。今でもこのHPを通しての情報提供は続いています。最近では今年の春に「マインドフルネス」に関するウェビナーを掲載しました。よろしければご覧ください。http://www.jamsnet.org/911.php?itemid=851&catid=25

福島県での支援活動
 東日本大震災後の中期・長期の日本への遠方支援活動としては、ネットワーク内で有志を募り、実際に東北に行き、現地で子どもの支援者(教員、スクールカウンセラー、養護教員、臨床心理士など)を支援する計画を立てました。かねてより連携があったAsian Federationの紹介で、Prospect Hills Foundation財団に補助金を申請し、援助を受けることができました。幸いわれわれネットワークに福島県教育長とコネクションがあるメンバーがおり、その協力で福島県全土の公立小・中・高等学校に、私たちが出来得る支援プログラムのメニューを送ることができました。災害後の子どもの心のケアに関する支援はもちろん、不登校や発達障害への対応、生徒を対象に問題解決やコーピング・スキルを教えるワークショップ、教職員へのコンサルテーションや研修会など、われわれ有志に出来る限りの支援プログラムのメニューを作成しました。結果福島県の9つの小・中・高校から要請があり、2012年から福島県で子どもの支援者を支援する活動を行いました。5名の有志が手分けして、これまでに福島市、いわき市、郡山市、相馬市の学校16校を述べ45回訪問しました。教職員向け研修会やワークショップ、教員、スクールカウンセラー、管理職への個別またはグループコンサルテーション、生徒対象ワークショップ、教職員のDebriefingなど多様な支援活動を行いました。学校訪問以外にも、学校保健会での100校近い養護教員対象の講演会や、地域拡大職員研修の依頼も受け、郡山市や相馬・新地地区で計11回行いました。

 福島県公立校の教員・スクールカウンセラーは、ご自身も被災者でありながら、生徒のために力を尽くし多忙を極めておられました。先生方からの感想には「すぐ使えて役立つスキルやトレーニングのノウハウを学べて有り難かった」、「アメリカでテロ事件や災害後実際に使われ効果があった方法を直接学べて有意義だった」、「遠いところから来たグループなので普段身近な人に話せないことも打ち明け相談できてよかった」などがありました。ご自身も大変な被害にあいながらも生徒のために睡眠時間を削って奮闘しておられる先生方の強い思いや感情が自然と出てきた会もありました。震災後1年経った頃のことです。感想として、「普段生徒のことばかり頭にあり夢中でやってきたが、今日は自分の心の中にある体験や気持ちが言葉として出てきた、自分自身の心とも向き合うことも大事なのだとわかった」という言葉を聞いたのが印象に残っています。2013年からはJAMSNETの依頼で福島県の「なごみ」と宮城県の「こころがけ」クリニックを計6回監査のために訪問しましたが、同時に両クリニックのメンタルヘルス担当スタッフの希望に応じ、コンサルテーションやワークショップも行いました。これらの福島県訪問に伴い、それまでに行っていた福島県公立学校での子どもの支援者支援も続けることが可能となりました。2015年以降もJAMSNETから資金援助を受け、日本へ仕事で長期間一時帰国する有志、バーンズ静子氏により、福島県での学校訪問を続けています。

 このように東日本大震災後、日本とアメリカでさまざまな形での邦人対象メンタルヘルス支援を行ってきました。われわれがこのように支援活動を敏速かつ積極的に、ニューヨークだけでなく東北においても行うことができたのは、日頃のネットワーク内での相互の連携・協力関係があったこと、それぞれのメンバーが持つ日米の医療・教育・福祉機関とのつながりを用いることができたことがまずあげられます。また母団体のJAMSNETとの連携・協力関係も大変重要でした。更には総領事館の協力も大きな助けとなりました。他国のメンタルヘルス・ネットワークによる危機時の邦人支援活動の何らかの参考にしていただければ幸いです。

今後の課題
 今後のわれわれの課題としては、ネットワーク内の相互連携・協力関係の維持、それぞれが持つリソース共有の拡大がまず挙げられます。更には他地域・他国の邦人メンタルヘルスネットワークとの交流や連携の強化を図っていくことです。JAMSNET東京東京、カナダ、アジア、ドイツの皆さまとも、情報交換や相互連携を深めていければと願っております。

海外の邦人支援ネットワーク維持の決め手
 ニューヨークのように人の移動が激しいところで、時間的制約が期されるこのようなボランティアベースのネットワーク自体が長く継続するのは容易なことではありません。実のところ、現在のネットワークが発足する以前に、ニューヨークでメンタルヘルス専門家によるネットワークが2度発足し、そのどちらもが自然消滅してしまった事実がありました。一度目は1995年から約4年間、当時の総領事館顧問医を中心に、約十数名のメンタルヘルス専門家が3ヶ月に一度の会合や日頃の連携を行っていました。ただ関係者の帰国により自然消滅しました。2度目は2001年に起こった9・11事件後、ニューヨーク周辺在住邦人の心のケアのために総領事館医務班・邦人援護班、国連代表部の連携で邦人メンタルヘルス専門家リストが作成されました。私もその一人でしたが、約20名ほどの専門職がネットワークを作り、各自ボランティアベースで、ネットワーク内のメンバーや日系の医療・教育・福祉団体、総領事館などと連携し、NY周辺在住の邦人を対象にしたメンタル・ケアに関するさまざまな支援活動を行いました。総領事館に設置された心のケアホットライン・サービス、危機時のストレス反応や対応に関する講演会やワークショップ、PTSDやその予防・対応に関する日本語での資料作成・配布などの活動がありました。しかしこの9・11事件後に作られた邦人メンタルヘルス専門職グループも時間が経つとともに集まる必要性が減少し、さらに中心的なメンバーの帰国などで一年以内に消滅してしまいました。

 現在のニューヨーク邦人メンタルヘルスネットワークは今年で10年目を迎えます。メンバーも発足当時より増加しており、特に東日本大震災後は支援活動の範囲も拡大しました。われわれのネットワークで3度目の邦人メンタルヘルス支援グループがこれまで存続し、多種多様な支援活動を積極的に行うことができた重要な決めては総領事館の関わりであると実感しています。実際に活動を行うのは現地のわれわれメンタルヘルス専門職でも、総領事館の後押しがあると動きやすい面が多いのが実情です。まずは総領事館が関わることでネットワークの信頼性が上がり、ネットワーク主催・共催のイベントなどが行いやすくなります。総領事館の恒久性も重要です。人材の流出入が多い中、総領事館が元締めとなることで継続性が保ちやすいといえます。ニューヨーク周辺在住の邦人メンタルヘルス専門家の多くは通常、個人開業または小規模な機関でそれぞれが個別に臨床活動を行っています。総領事館内でのネットワークの定期的な会合に出席し、医務班・邦人援護班スタッフと日常的に連携を行うことで、日本政府に支援されている実感や日系コミュニティに貢献しているという意識も高まり、今後の支援活動のモチベーションを高めることにつながります。過去に2度邦人メンタルヘルス・グループが自然消滅したことを踏まえても、海外在留邦人メンタルヘルス支援ネットワークの継続には、日本政府、総領事館の関わりが重要な決めてであると確信しています。

 ネットワークの継続のためのもう一つの重要な決め手はメンバーの専門性の高さではないかと思っています。上記に触れたネットワークの啓蒙・予防活動や災害後の支援活動なども、メンバーの専門性が高ければ提供できる情報や支援プログラムの充実も図れます。ネットワークが企画する勉強会も質の良いものを提供でき、ネットワーク継続へのモチベーションが高まります。またネットワークへの信頼性が高まることにもつながり、他機関からの協力や資金援助、場所の提供などさまざまな援助も受けやすくなるといえるでしょう。

ニューヨークで邦人のメンタルヘルス・ケアをしてきた経験から
 ここで私のこれまでの経験をもとに、日米のメンタルヘルス事情の違いについてご紹介し、臨床心理職の役割と権限について考えてみたいと思います。

米国のメンタルヘルス・システム
 アメリカでは心理療法に携わるメンタルヘルス専門職の種類が日本より多く、それらの資格は公的なもので、国家資格を取るための基準が厳しいことを先にご紹介しました。これと同時に専門家としての役割や法的権限も日本とかなり違っています。アメリカでは臨床心理士を含む心理職がクライエントを独自にアセスメントし診断を下します。クライエントの”Primary Therapist”として独自に治療目標や計画を立てさまざまな種類の心理療法を行うことが法的に認められているのです。国家資格であるためサイコセラピーや夫婦カウンセリングなどさまざまな種類の心理療法には保険が適応されます。症状が重く薬が必要かもしれないと思われる場合にはクライエントを精神科医にリファーラルします。精神科医が薬物療法が必要だと判断した場合には、その後定期的に精神科医と連絡を取り連携するのが通常です。臨床心理士(“Clinical Psychologist”) の場合、薬の処方以外は精神科医 (“Psychiatrist”) とほぼ同様の法的権限を有します。危険性の高い患者を緊急強制入院させる権限もあります。病院では通常Multidisciplinary teamアプローチが取られます(精神科医、心理士、ソーシャルワーカー、アートセラピストなどの職種がそれぞれの専門性を生かし各クライエントへの最善の治療を定期的にチームで検討する)。心理士も自分の受け持ちのクライエントのPrimary Therapistとして、必要あらば他の種類の専門家へのリファーラルや治療のコーディネートなどを行い、チーム連携の中心となり包括的な治療を進めていきます。

 病院の精神科入院・外来サービス以外にも、アメリカではコミュニティベースの非営利メンタルヘルス機関や個人開業のクリニック、大学院設置のクリニック、また公立の小・中・高等学校においても、臨床心理士、臨床ソーシャルワーカー、学校心理士、精神分析家、アートセラピストなど、さまざまなメンタルヘルス専門職から心理療法を受けられます。保険適応、あるいは公立の学校においては公費で賄われ、それらのメンタルヘルス・サービスを受けやすくしています。アメリカでは心理療法を受けることが比較的一般化しており、日本よりも抵抗感が比較的少ないといえます。「かかりつけのセラピストがいることがニューヨーカーの証」とまで言われているほどです。

 メンタルヘルス・サービスを受けるためのリファーラルの方法もさまざまです。例えば子ども・青少年の場合、公立の小・中・高等学校に複数のメンタルヘルス専門職が常勤しており、情緒面の問題や症状があれば、通常”School Psychologist”(学校心理士)がアセスメントし、校内で心理カウンセリングを行うか、それ以上の心理療法や薬が必要と思われる場合には外部の臨床心理専門家や精神科医にリファーラルします。自閉症スペクトラム障害や学習障害などの発達障害が疑われる場合には、まず学校で査定(心理教育発達診断査定、言語査定など)が行われ、その結果必要と見なされれば公費でいろいろな種類の特別支援サ―ビスが提供されます。個々の生徒のスペシャル・ニーズに応じ、学校心理士、言語聴能士、特別支援専門教員、作業療法士など国家資格を有する各専門家から、学校にいながらさまざまな支援(心理カウンセリング、社会性スキルトレーニング、言語セラピー、学習障害がある生徒対象の取り出し授業など)を公費で受けられられるシステムになっています。ニューヨーク周辺でも多くの邦人児童が公立学校で特別支援サービスの恩恵を受けています。

 生徒の症状が重く、自殺などの危険が高い場合は救急病院精神科に連れて行き対応してもらったあと、入院するか、外来の専門職を紹介されます。症状が重く家から出られず、親も対処できない場合などは、病院の精神科や地域のメンタルクリニックにあるモービル・クライシスチーム(心理士や臨床ソーシャルワーカなどの心理職や精神科医で構成されている)に要請することができ、クライエントがいるところまで来てもらう方法もあります。学校以外にも、小児科医がカウンセリングや家族療法を勧めたり、親が保険会社のリストを用いて直接専門職に予約の連絡をする場合も多いです。大人の場合も同様に、症状の種類や重さの程度に応じ、さまざまな種類のメンタルヘルスサービスが用意されており、患者のリファーラルのシステムが体系的に確立されています。

メンタルヘルス事情における日米の違い
 私事で恐縮ですが、私自身はアメリカに27年在住し、ニューヨークの大学と大学院で臨床心理学を学びました。学位取得後すぐに現職に就いたため日本のメンタルヘルス事情についてはあまり詳しくありませんでした。ところが去年の9月から今年の3月まで、ある私立女子大学に客員准教授として招かれ、臨床心理学を学部生と博士課程前期の大学院生に教える機会に恵まれました。以前から、自分がアメリカで学んだ知識やスキル、経験を日本の次世代のサイコロジストに伝えたいという希望が強くありましたので大変有難い機会となりました。講義ではアメリカで作られた理論や新しい心理療法、多文化カウンセリング、危機介入などをトピックとして取り上げ、大学内のケースカンファレンスにも参加しました。他の大学の教員から依頼を受け講義を行なったり、幾つかの大学の教員の先生方や、病院や学校に勤務されている心理士の方々とも交流の場を持つ機会に恵まれ、それまで知らなかった日本の臨床心理の現状について少し学ぶことができました。なかには驚くこともあり、改めて心理臨床サービスへのニーズと現状における日米の差について考える機会となりました。この機会に少し述べさせていただきたいと思います。

 私が驚いたのは日本では医師でなければ精神疾患や発達障害の診断を下すことができないということでした。心理職は医師の指示があってのみサイコセラピーや心理査定などの心理療法を行うことができるということを初めて知りました。そのため多くの患者が診断のため精神科医による受診を待たなければならず、長い時には診断のための予約が数か月から半年取れないこともあると聞きました。その間必要なメンタルヘルス・ケアが受けられないことになり、大変残念なことだと感じました。その後、大学院での臨床心理士養成トレーニングにそのような現状が反映されている部分があることに気がつきました。

 例えばアセスメントとケースフォーミュレーションについてですが、アメリカでは初回のインテーク・アセスメントを行った後、担当のセラピストが詳しいケースフォーミュレーションを立てます。今後自分がそのクライエントのPrimary therapistとして治療を進めていくにあたり、大変重要で不可欠なものです。まずアセスメントで、クライエントの現在の心理状態(どの種類の症状や問題がどの程度あるのか)、それらの症状・問題のこれまでの経過や治療歴の有無とその効果、クライエントの現在とこれまでの学業・仕事面の機能、人間関係、生育歴、親との関係、家族内の力動、トラウマ経験の有無、家族の既往歴、またクライエント自身の気質や性格的特性、身体的機能、知的能力や社会性、強みとなる特性、家族・友人のサポートなど、さまざまな種類の情報を収集します。つまりクライエント本人の生物学的脆弱性(気質的特性や遺伝的要因を含む)と重要な環境的ストレッサ―(トラウマ的経験、大事な人との別離、学業・仕事面の過度なプレッシャーなど含む)に関する情報を得るのです。そしてケースフォーミュレーションでは、クライエントが現在の心理的・情緒的状態に至るまでの要因を見極め、それらの要因がどのように絡み合い相互的に影響し合って現在の問題や症状が維持されてきたのかについての仮説を立てます。そしてそのケースフォーミュレーションをもとに、クライエントの長期・短期治療目標を立て、どのような心理療法・臨床アプローチ(個別カウンセリング、グループセラピー、家族療法など)を用いるか、また精神科医やアートセラピストなどへのリファーラルを行うか、更にどのような頻度・期間で治療を勧めて行くのかという治療計画を決定していきます。私が知る限り、日本ではそのようなケースフォーミュレーションの仕方や治療目的・計画の立て方は教えられていないようで、最初は少々驚きましたが、日本では心理職に独自に診断し治療目標や計画を決定していく権限がないことを考えれば、むしろ自然なことといえるでしょう。

今後の日本の心理臨床サービス
 日本でも阪神・淡路大震災後、メンタルヘルスケアの重要性が注目されるようになったと聞いています。それから21年経ちました。臨床心理士の養成機関も増え、学校にもスクールカウンセラーが導入されるようになりました。うつやPTSDなどの専門用語もメディアで取り上げられ、一般人の間でも語られるようになってきたことが海外にいても耳に入ってきます。数々のメンタルヘルス関係の職種や認定制度もでき、2018年には公認心理師という国家資格ができると聞いています。このような変化は目覚ましく、関係者の努力は並大抵のものではなかったことと想像します。アメリカに住んでいると、政治や教育など様々なシステム的問題が多々あることに気づかされることも多いです。しかしアメリカのメンタルヘルス・サービスの層の厚さ、リファーラルシステムの充実、メンタルヘルス専門職の数や専門トレーニングの質と量、一般人のメンタルヘルス・ケアについての意識などは、依然として日本と大きな開きがあるといわざるを得ません。アメリカでサイコセラピーやカウンセリングを受けていたクライエントが日本へ帰国後、同じようなケアを求めても見つからないという報告もよく耳にします。今回日本の大学で六か月教鞭を取る機会に恵まれ、多くの優秀な大学院生やメンタルヘルス専門職の方々にお会いしました。有能な心理職が数多くおられるにもかかわらず、日本のメンタルヘルスに関わるシステムや法律のために、精神疾患や発達障害の診断やメンタルヘルス・ケアを必要としている人が、それらを必要な時に受けられず、何か月も待たなければならない状況があるというのは大変遺憾なことだと感じざるをえません。精神科医の診断や治療方針に関する決断を長く待たなくとも、臨床心理職への専門トレーニングの改善や強化により、臨床心理職が独自に診断し、ケースフォーミュレーションを立て、治療目的や治療計画を決定し、心理療法を提供することが十分可能ではないかと強く感じています。メンタルヘルスへの意識とニーズが高まってきている今、日本での心理臨床サービスのますますの充実を願ってやみません。

われわれメンタルヘルスネットワークの中には、私のように、日本の次世代の臨床心理職に、自分がアメリカで学んだ専門知識やスキル、経験を伝えていきたいと思うメンバーが多くいます。今後このこともわれわれネットワークの活動に加えて行きたいと個人的に思っております。これはまだ私個人で考えているだけですが、この度私が行ったような客員教員を行うことが可能な人材を日本の大学へ紹介したり、われわれネットワークが企画する講演会やウェビナーを日本の専門職へも提供すること、また日本でトレーニング中の心理職がニューヨークに来られた際にネットワークのメンバーとの交流を企画したり、現地のメンタルヘルス機関見学のお手伝いをするなどのアイデアを考えています。是非皆様のご意見やご協力を頂ければ大変幸甚に存じます。乱筆乱文失礼致しました。長文にもかかわらず最後までお読みいただいた方に感謝します。

2016年8月
JAMSNET ニューヨーク邦人メンタルヘルスネットワーク副代表
ニューヨーク日本人教育審議会・教育文化交流センター・教育相談室
New York State Licensed Clinical Psychologist 森真佐子

参考文献・サイト
森真佐子、バーンズ亀山静子 各都市の取り組み「米国・ニューヨーク」 鈴木満編著「異国で心を病んだときー在外メンタルヘルスの現場から」弘文堂 2012

在NY日本国総領事館ホームページ
http://www.ny.us.emb-japan.go.jp/jp/html/houjintokei.html

東日本大震災 NYから心の相談110
http://jamsnet.org/110.php

講演会動画:ジャムズネット東京「オリンピック・パラリンピック直前!アスリートと応援団のための健康対策」

ニュース 2016/08/26

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ジャムズネット東京第5回講演会 「オリンピック・パラリンピック直前! アスリートと応援団のための健康対策」
2016年7月31日@東京医科大学病院
当日の動画を公開されました。是非、ご覧ください。

以下をクリック下さい:
http://www.jamsnettokyo.org/

JAMSNET東京:
http://jamsnettokyo.org/

ジャムズネット東京:古閑理事長の記事掲載:Medical Note社

ニュース 2016/08/15

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ジャムズネット東京、古閑理事長の記事が、ジャムズネット東京との連携の形で掲載されました。是非、ご覧ください。

以下をクリック下さい:
https://sp.medicalnote.jp/groups/9/contents

JAMSNET東京:
http://jamsnettokyo.org/

東日本大震災の被災者の方々の支援者向けウエビナーシリーズ:マインドフルネス編

トップ記事 2016/05/26

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「これはメンタルヘルスのプロフェッショナルが作っているNY邦人メンタルヘルスネットワークが、東日本大震災の被災者の方々の支援をしていらっしゃる人たちのために制作したウエビナーシリーズです。現場で頑張っていらっしゃる支援者の方々が支援をする中で、使っていただけるよう願いを込めて制作しました。
今回公開するのは「マインドフルネス編」。マインドフルネスとは日本文化の中に古来からもともとあったコンセプトです。マンドフルネスとは何なのか、どんな効用があるのか、リサーチではどんな結果が出ているのか、またそれを現在どう生活の中で使っていけるかをお話ししていきます。また、実際にマインドフルネスを手軽に体験していたけるよう誘導瞑想の動画も最後の章に用意しています(4〜6章)。
*NY邦人メンタルヘルスネットワークはJAMSNET(Japanese Medical Support Network in NY) のサブグループです。」

序章  https://youtu.be/VdYGEqAMs2E

マインドフルネス

第1章 https://youtu.be/-GPFOkDXaS8
第2章 https://youtu.be/5NRs_ZSyQxU
第3章 https://youtu.be/1P_xTfG8Y5Y
第4章 https://youtu.be/F_MVi5BBDv0
第5章 https://youtu.be/qNrDChippWw
第6章 https://youtu.be/DmSwgjUjg20

NY邦人メンタルヘルスネットワーク
http://www.jamsnet.org/110.php

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