JAMSNETアジア中島敏彦先生:電子書籍ご紹介『グローバルビジネスとヘルスリテラシー ~海外赴任者に対する安全配慮義務の観点から』
書籍冒頭のご紹介
はじめに
この本を手にとったあなたは、海外赴任を控えたビジネスマンでしょうか?それとも駐在員を送り出す準備をしている、海外人事担当者や企業の経営者の方でしょうか?もしかすると将来海外で活躍することを夢見る学生や、新入社員の方かもしれません。海外でビジネスを成功させたり、思い描いたキャリアをかなえるために、健康でいることはとても重要です。そのために渡航する国の安全や医療などの情報の集めかた、海外での医療保険の使いかたや緊急時の対応について知っておくと、どこの国に行っても役立ちます。この能力をヘルスリテラシーといいます。
また海外労働者が健康を損なうのは、企業にとっても大きな損害です。海外出張者の労働災害を扱った松本労基署長事件や、海外労働者に対する企業の責任を明確にした、2015年の中央労働基準監督署長事件の判決などが明確に示したように、企業は労働者が海外でも安全で健康的に働けるように、安全配慮義務を負うことが求められます。企業の危機管理の観点からも、海外労働者の健康を守ることは、最重要課題の1つです。
かつては海外赴任者といえば大手企業に所属するビジネスマンか外交官がほとんどで、「出世コース」、「エリートコース」、「駐在が終わると家が建つ」などといわれました。しかし近年ではグローバリゼーションの推進により、海外で働くことは珍しいことではありません。現在海外進出が多い業種は製造業や卸売・小売業などです。進出先も以前は欧米などの先進国が中心でしたが、近年は中国やベトナムなどの、医療水準の低いアジアの国々が目立ちます。2018年時点での日本企業の進出先の70%はアジアで、今後ますますアジアの発展途上国への進出は増えるといわれています。同年の海外在留邦人数調査統計によると、海外で暮らす日本人は139万0,370人 で、100人に1人以上の日本人が海外に住んでいます。つまりこの本を読んでいるあなたが、いつ「グローバル人材」として海外赴任をすることになってもおかしくないということです。
この本ではパート I: 海外進出企業の、労働者に対する安全配慮義務について.と、パート II: 渡航や企業の海外進出の際に検討すべき、健康や医療に関するリスク.で、どこの発展途上国に行っても役に立つヘルスリテラシーをお伝えします。そしてパートⅢ: ベトナム進出の際に、考えるべき医療安全のリスク.では、近年注目されているアジアの発展途上国であるベトナムを題材として、パートⅠとⅡで紹介した知識の活用の仕方を説明します。
シンガポール、中国、ベトナム、タイに住む在留邦人に、総合診療医/産業医として関わってきた著者の経験が、これから海外で活躍する方や日本の企業の成功の一助になることを願い、拙著を上梓いたします。
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Raffles Medical Group 総合診療医/ Clover Plus 医療産業アドバイザー 中島 敏彦