Part Ⅰ 災害における地域精神保健支援
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Disaster Psychiatry Outreach
2011年 5月
著者
• Jeff Taxman, M.D.
• Gayani de Silva-Reynolds, M.D.
• Chitral de Mel, Esq.
文献
• Manual for Community Level Workers to Provide Psychosocial Care to Communities Affected by the Tsunami Disaster (World Health Organization)
• Training Manual for Mental Health and Human Service Workers in Major Disasters
(U.S. Substance Abuse and Mental Health Services Administration)
• Coping with Disasters: A Guidebook for Psychosocial Intervention
(John H. Enrenreich, PhD, State University of New York)
• Training programs of Disaster Psychiatry Outreach
謝辞
• DPO Curriculum Committee
• DPO Child and Adolescent Committee
• Division of Alcoholism and Substance Abuse of New York University School of Medicine
第1部
災害直後と 長期的な反応
心理的な反応
心理的な反応は様々です
異常な出来事に対する正常な反応
多くの人は災害の後、健康的で賢明な対処反応を示します。
Psychological Stages of Disaster
災害の心理的段階
災害前
• 警戒
• 脅威
• インパクト
英雄期
• ハネムーン期 地域社会の結合
幻滅
• 受け入れ
• 喪の作業
• 刺激のきっかけとなる出来事と 記念日反応
• 再建期、新たな生活
時間 1-3 日 1-3 年
懸念すべき心理的な影響
• 苦痛に対する反応– 思考と感情の変化
• 行動の変化 – 日常の行動の変化
• 精神病– 極度な場合の反応や行動の変化にみられ、PTSDと大うつ病が含まれます
災害の時間的な経過
• インパクト – 急性期の最初の24−48時間
• 急性期 – 災害から2ヶ月後まで
• 急性期後 – 約2ヶ月後とそれ以後
急性期 と 急性期の後の段階
急性期
• 何時間、何日から何週間
• 直接的なインパクト
• 略式的な仮説の場所
• 症状のアセスメント
• 実践的で柔軟な基本的なケア
急性期後
• 週から月
• 長期的な後遺症
• 設定された場所
• 症候群のアセスメント
• 介入と専門家の紹介
急性期
急性的な心理的反応
• ぼう然
• ショック
• 見捨てられた感情
• 普段感じない脆弱性
• 誇張された噂
• 激しい愛情/ 愛他心
• 英雄的 / 活動
• 驚き
• 危険感
• 混乱
• 行き詰まり
• 失望
• 無気力
• 無力感
• 不快感
インパクト時に問題となりうる反応
• 緊張、不安、パニック
• 愕然, 呆然, ショック, 不信
• 状況を否定
• 落ち着かない, 混乱
• 動揺、さまよい、泣き叫び、引きこもりを伴う過度の反応
• 生存者としての罪悪感
災害後数日間ー数週間
• 不安になる, 警戒する、過敏(落ち着かない、怒りっぽい、寝られない)
• 心配、意気消沈する
• 「フラッシュバック」が繰り返される
• 泣く、罪悪感(生存者としての罪悪感を含む)
• 悲しみ
• 希望を持つ、将来のことを考える、救援と救助活動に参加するなどの肯定的な反応
• 災害を自然現象として受け入れる
急性症状の概要
• 身体的
• 思考の変化
• 感情
• 行動
身体的ストレス反応
心拍数の増加、呼吸が速くなる、
発汗, 食欲不振、めまい
ストレスと思考
混乱、集中困難、悪夢、警戒心
ストレスと感情
恐れ、不安、罪悪感、悲しみ、
イライラ、抑うつ感
問題のある行動
引きこもり、日常生活がみだれる、不眠、薬物乱用
悲嘆と関連した経験
• 死別ー 愛する人の死による喪失
• 悲哀ー喪失の社会的な表現
• 悲嘆ー喪失に対する不随意の感情/行動的反応
問題となりうる悲嘆
• 抑圧された悲嘆ー 無感覚で感情を抑制しすげている
• 歪曲した悲嘆ー悲しみよりも怒りや敵意が圧倒している
• 過剰な罪悪感ー度を超えて自己非難を繰り返したり罪悪感にとらわれる
• 慢性的な悲嘆ー悲しみや喪失感が長期に渡り絶え間なく続く
• 臨床的うつ病
肯定的な対処法
• 急速に適応できる
• 重要な活動を計画し、実行できる
• 入手可能な資源を適切に利用できる
• 痛ましい感情を適切に表現できる
• 衝動的な行動に走らずに不確定な状況に耐えることができる
• 不安に対処するのに意思の力と緊張の発散の方法を生かす
否定的な対処法
• 過剰な否認と回避
• 衝動的な行動
• 過度の依存
• 他者への思いやりを引き出せない
• 感情の抑制
• 薬物依存
• 社会的支援を利用できない
急性期の後の段階
• 災害後に生じたストレスに対する反応と行動の変化が急性期後の段階に持続する場合は問題であり、注意を向ける必要がある。
• 被災者には災害後、数週間から何ヶ月後かに明らかとなる本格的な障害を発症する人がいる。
精神病
• 精神病と診断するためには症状は激しく、重篤で社会生活や仕事、または他の大事な機能の障害につながらなければならない。
長期的な問題の可能性
• 大うつ病
• PTSD (外傷後ストレス障害)
• アルコールと薬物乱用
大うつ病
• 情緒面の症状– うつ感情、ものごとに興味を失う、イライラ
• 思考を影響する症状– 集中困難、自己評価の低下, 罪悪感, 自殺年虜/自殺行動
• 身体面の症状– 睡眠問題、食欲不振、エネルギーの欠如、 落ち着きのなさ
SAD-A-FACES
SAD-A-FACES の質問は大うつ病の9つの可能な症状を記憶するのに便利です。
• Sleep 睡眠 (不眠、睡眠過剰)
• Appetite 食欲 (増大、低下、体重の変化)
• Dysphoria 不快 (悲しみ /気分低下 /イライラ)
• Anhedonia 無快楽症 (興味がない/快感を感じない/性欲がない)的
• Fatigue 疲労 (エネルギーの低下)
• Agitation 焦燥 (精神運動性激越/緩慢)
• Concentration 集中
• Esteem 自尊心 (自己評価の低下、罪悪感)
• Suicide 自殺 (消極的:人生は生きる価値がない /積極的: 自殺企図, 方法)
臨床的うつ病
うつは大うつ病以外に様々な形で現れる
PTSD (外傷後ストレス障害)
• 自分や他の人が安全や命を脅かすような出来事に直面した後で発症する可能性がある。
• 出来事の数日から数週間後に発症する。
• 衝撃的な体験を精神的に理解できないから生じる
• 衝撃的な体験を言葉で表すことが出来ず、うまく処理されず、イメージや感覚として精神に埋め込まれる
• 生物学的には必要ないのに「闘争/逃避反応」がそのまま持続しているのに似ている。
• ストレスホルモンのレベルはトラウマとなった出来事が過ぎ去った後でも高まったままである。
• 再体験症状— 悪夢、フラッシュバック、繰り返し蘇るる記憶
• 回避症状– 将来について考えられない、出来事に関連する状況や思考を避ける、 物事に対する興味を失う。 他の人から解離している体験。
• 過覚醒亢進症状– 過度の警戒心、 刺激に対する過剰反応、 睡眠障害, イライラ
再体験(侵入)な症状
– イメージ、思考、知覚を含む記憶が繰り返し蘇る
– 出来事の苦痛な夢を繰り返しみる
– 衝撃的な出来事が起きているかのごとく行動したり感じる
• 幻想/幻覚
• 出来事を再体験している感覚
• 解離的なフラッシュバック
• 衝撃的な出来事の一部を象徴するキューにふれると激しい苦痛を体験する
• 衝撃的な出来事の一部を象徴するキューにふれると身体的に反応する
回避症状
• トラウマに関連した思考、感情、会話を避けようとする。
• トラウマを思い起こす行為、場所、人を避けようとする。
• トラウマに関する大事な部分を思い出せない。
• 重要な活動に興味が持てない、参加しない。
• 周囲の人から孤立したり疎遠になる。
• 感情が限られるー例えば暖かい感情を感じられない。
• 将来が短縮された感覚ー例えば仕事、結婚、子供や正常な人生を送れると思えない。
過覚醒(過覚醒亢進)症状
• 寝つけない、寝続けることが困難
• イライラ、怒りの爆発
• 集中困難
• 過剰に警戒する
• ちょっとしたことにもビクッとする
アルコールと薬物
• 災害後、アルコールと薬物の増加は頻繁に見られる。
アルコール問
• C–cutback?
今までに飲酒を減らそうとしたことはありますか?
• A– angry?
他の人があなたの飲酒を心配すると苛立ちますか?
• G– guilty?
飲酒に後ろめたい気持ちや罪悪感を持ちますか?
• E- eye-opener?
朝酒や迎え種を飲みますか?
上記の質問に「はい」と答えた場合、アルコールの問題がある可能性があります。
アルコール薬物乱用/依存
不適応な薬物の使用はストレスや障害につながる
慢性的な飲酒の身体組織へ影響
認知的欠陥、精神病症状
肝硬変,すい炎, 口腔/食道癌心筋症
不整脈, 高血圧, 脳卒中, 胃潰瘍、胃炎, 十二指潰瘍
飲酒の心理的な影響
• うつ病
• 不安
• 精神症状
• 認知症あるいは混乱
身体的な症状
• トラウマを体験した人は身体で経験することが多い。
• 頭痛、疲労、動悸、食欲不振、腹痛、吐き気、あるいは身体中の痛みは感情のストレスの症状であることが多い。
• これらの症状は主要な医学的な問題や明らかな身体的原因がなくても発生し、続く可能性がある
その他の状態
• より深刻なあるいは既往状態はこの訓練の枠には含まれない。
• 災害前に深刻な問題を抱えた人が予想以上によく対処できるは特記すべきである。
• しかし、これらの脆弱な人たちが可能な限り、以前の環境に戻り、必要なケアを受けられるようにするべきである。